2014年6月アーカイブ

財産を残して亡くなった方の財産は、相続を契機として、相続人に承継されることになります。
財産を残して亡くなった人のことを被相続人と呼びます。民法には、相続人になり得る人の規定がなされており、被相続人の配偶者は常に相続人となり、まずは、被相続人の子が第1順位の相続人となります。そして、子がない場合には第2順位として被相続人の直系尊属、直系尊属もない場合には第3順位として被相続人の兄弟姉妹という順番で相続がなされます。
また、被相続人が死亡するよりも前に子が死亡して孫があるような場合には、その孫が相続人となります。これを、代襲相続といいます。
そして、相続人である地位を放棄することもできます。これを、相続放棄といいます。相続放棄は、相続人が、自己が相続人となったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することにより成立します。
逆に、自己が相続人となったことを知った時から3ヶ月以内に相続放棄の申述をしないと単純承認したとみなされる効果が生じます。もし3ヶ月の期限内に相続するか放棄するか判断できない場合には、家庭裁判所に相続放棄の申述期間の伸長の申立をして、期間を延ばしてもらうことができる場合があります。
なお、相続放棄を行なった場合の効果については、初めから相続人とならなかったとみなされ、債権者を始めとする第三者の権利を害してはならないという制限も特にないため、強固な効果を持っています。上で説明した代襲相続についても、相続放棄をした相続人の子は、代襲相続人とはなりません。この点、相続欠格や推定相続人廃除の場合とは結論が異なります。
一般的に相続放棄が行なわれるシーンにおいては、被相続人の抱えていた負債が多い場合や、会社を継いだ長男の経営を安定化させたいため、長男の兄弟によって申述されることが多いです。長男を唯一の相続人とすることで、会社の資産も負債もすべて長男が引き継ぐ形にするわけです。
相続放棄の手続きは、それほど難しいわけではありません。名義変更の場合などと比較すると、必要となる戸籍も多くありませんし、相続放棄申述書も、専門的な用語に関する知識がそれほどなくても、日常的な言葉で作成することが可能です。しかし、弁護士や司法書士など、法律の専門家に依頼すると、いろいろな助言を得ることができます。安心を買うという意味では、専門家に依頼することもひとつの方法でしょう。

相続人は、何も手続きをすることなく被相続人のすべての権利義務を承継します。通常はそれでなんら問題はないのですが、相続人のひとりに相続分を集中させたいような場合や、または被相続人に多額の借金があったりなどという場合など、相続を拒否したいということもあります。
また、被相続人に相続財産と相続債務の両方があって、それらを清算するとプラスになるのかマイナスになるのかはっきりしないというような場合もあります。このような場合には、相続人は、下記の三通りの選択肢から、いずれかを選ぶことができます。


1、単純承認
もっとも原則的な形態で、相続人が被相続人の権利義務を包括的に承継することです。
2、限定承認
相続債務については、相続財産のプラスの範囲でのみ責任を負い、それ以上には責任を負わないという承継の方法です。
3、相続放棄
相続を完全に拒否し、最初から相続人ではなかったこととします。
※司法書士による相続放棄の手続き概要の説明はこちら


このうち、わかりにくいのが、限定承認です。限定承認は要式行為であり、自己のために相続が発生したことを知ってから3か月内に、財産目録を調製し、相続人全員で、家庭裁判所に対して限定承認する旨の申述しなければなりません。相続人全員でしなければいけないことや、手続きが重厚でお手軽にはできないことから、あまり利用されていません。

限定承認がなされると、被相続人の財産と相続人の固有の財産は分離して取り扱われます。そして、相続債権者は、相続財産についてのみ執行をすることができることになります。そして、限定承認をした相続人は、相続により承継した債務について、相続財産を限度とする有限責任を負うこととなります。

限定承認の手続きが大変なのは、上記のとおり、相続人全員で行う必要があるためです。とえば相続人が5人いた場合に、5人全員で限定承認の手続きを行う必要があります。すると、手続きに必要な書類も各人について必要となり、大変です。しかし、このような場合には、相続人ひとりを除いて残りの4人は相続放棄をしてしまえば、限定承認をしなければいけないのは残りのひとりだけでよくなります。このような工夫をすることで、限定承認の手続きも取りやすくなります。

相続放棄は、家庭裁判所に申述して行います。家庭裁判所で申述が受理されると、その相続人は最初から相続人ではなかったこととなります。自己のために相続があったことを知ってから三か月内に手続きをする必要はありますが、手続きはそれほどむずかしくありません。